カウンセリング

【ありがとうを言えた日】壮絶な人生を生き抜いた女性が語った心温まるお話

こんにちは(^^)カウンセラーのサティです。
今回は定期的にカウンセリングを受けてくださっている、クライアントの典子さん(仮名)のお話をシェアしたいと思います。(典子さんからの許可を得て書かせていただいています)

クライアントの典子さん(仮名)の言葉

典子さんは40代独身女性です。2年くらい前から定期的に私のところに来てくださっています。

私自身カウンセラーを始めて、いろいろなクライアントさんから、さまざまな人生をお聞きしてきました。自身の心の葛藤に悩み、苦しみ、藁にもすがる思いでカウンセリングを受けに来てくださる方のほとんどが、幼い頃から苦労や我慢の多い人生を歩んでこられた、とてもがんばり屋の方々です。

典子さんはその中でも群を抜いて過酷な人生を歩んでこられている方で、若い頃、精神疾患にかかり、自傷行為も絶えなかったそうです。

そんな彼女が、初め自分の身体に「ありがとう」と言った日のことを教えてくれました。このことは、ぜひたくさんの人に知ってほしいと思い、典子さんの許可を得て、書かせていただくことにしました。

「私、骨髄バンクに登録していて、一度自分の骨髄を提供したことがあるんです」

このお話は、カウンセリング内ではなくて、ほんの些細な世間話から始まりました。きっかけは典子さんが何気なく発した言葉でした。

典子さんが骨髄バンクに登録し、提供に至った経緯

典子さんは幼い頃から、心の病気を持ったお母様と親一人子一人で暮らしてきました。お母様との暮らしは、“苦労”という言葉では表現しきれないほど壮絶なものでした。

学生時代には不登校も経験し、20代には精神疾患で入院、自傷行為を繰り返して、生きる気力を失いかけていたそうです。

そのくらいに、典子さんは骨髄バンクに登録したと言います。

「なぜ骨髄バンクに登録しようと思ったのですか?」

私がそうたずねると、

「自分は身体が丈夫なことだけが取り柄なので、その体の健康で人の役に立てないかなと思ったんです」と典子さんは答えました。

「ドナー登録をしても、型が合わず、一度も提供できないことも多いんですよ」

典子さんは骨髄バンクについて、詳しく教えてくれました。

ドナーになるにはいくつかの条件があり、その条件をクリアした上で検査を行い、たとえ提供を待つ患者さんと型が合っても、さらに厳しい条件を経て、やっと骨髄提供が叶うと言います。ところが典子さんが検査を受けると、

「なんと私の骨髄の型と合う患者さんが数人いたんです!」

型が合う患者さんと出会えることも稀なケースであり、それが複数人いたこと、そして実際に提供に至ることは、本当にすごい確率だそうです。(提供が決まっても、患者さんの病状によって、中止になってしまうこともかなりあるそうです)

体はいつも生きるために必死に働いてくれている

「骨髄提供について、興味ある人や登録を検討している人はたくさんいると思いますが、提供することにリスクもある中で、恐怖心はなかったのですか?」

私自身も骨髄バンクの存在は知っていて、興味を持っていました。しかし骨髄提供に伴うリスクを考えると、行動できずにいました。

そんな私からの質問に典子さんは、「なかったです」とはっきりと答えました。

そして、「骨髄採取に、2泊3日病院に入院しました。入院前日は緊張で眠れなくなるドナーさんもいるみたいです。けど私はワクワクして眠れなかったです」と、軽快に話を続けてくれました。

「骨髄採取当日、初めて手術室に入ったら感激してしまって、はしゃいでしまったんです。それで先生にちょっと注意されちゃって(笑)。骨髄採取は、全身麻酔で腰のあたりに3か所行いました」

「痛くなかったのですか?」と聞くと、

「麻酔が切れてから、しばらく痛かったです。けど、看護師さんが至れり尽くせりで、褒めてもらえるし、今までこんな経験なかったので、ちょっと嬉しかったです

病院に行くと、皆がいたわってくれて心地よい…私もその典子さんの気持ちがとてもよく理解できました。過酷な人生を送ってこられた方だからこそ、人の温かさを感じたのだと思いました。

そして典子さんは続けます。

「腰から骨髄を採取し終わって…そのあと全身のエネルギーが腰に集中して、身体が一生懸命治そうと働いているのがわかったんです。今まで死にたいと思って、自分で自分の身体を傷つけてきましたが、身体は一生懸命治そうと働いてきてくれたことに、その時初めて気づいたんです…」

…死にたいと思うのは、病んだ自分の心だけで、身体は一生懸命に生きようとしているんです。それがわかって、私は病室で泣きました。そして初めて自分の身体に“ありがとう”と言いました

典子さんの言葉に、私も胸がいっぱいになりました。

虐待を受けながら育ち、自分の身体を傷つけてきた典子さんが、純粋に“人の役に立ちたい”と思い、骨髄提供に至った経緯は誰にでも真似できることではないと思いました。

そして典子さんは、骨髄提供はドナー側にもたくさんの得るものがあり、心から感謝しているとおっしゃっていました。

身体と魂は“死にたい”と思っていない

これまでも、かつての私の強い自殺願望と、妹と従兄の自死について何度か書かせていただきました。

死んでしまいたい気持ちは痛いほどよくわかる…
でも死んではいけない。
死にたいと思っているのは病んでしまった心だけだから。
身体はひと時も休むことなく生きるために働き、魂も“生”をまっとうしようとしている…

自傷行為も、心の痛みを紛らわすため、脳から快楽の物質を分泌させることが癖になってしまうといいます。リストカット、薬物乱用、摂取障害、アルコール依存症、すべて“生きるために心の苦痛から逃げたい”一心でやってしまうといっても過言ではありません。

生きたいから、心の苦痛を取り除きたい…

そう思った一瞬の過ちが、大事に至ってしまうことほど、悔やまれることはありません。

典子さんには強い生命力と人生を楽しもうとする強さがあります(ご本人は謙遜して、否定しますが)ここで典子さんのお話をしたのは、彼女を見習ってほしい、また骨髄バンクに登録してほしいということではありません。

誰もが、ものすごい強さと、ものすごい弱さを兼ね備えて生きています。弱いだけの人も、強いだけの人もこの世にはいません。

心が病んで弱気になってしまうのは、ただ心が疲れ切ってしまっているだけ。身体は日々休まず、あなたが生き続けるために、ひそかに働き続けています。

傷つけられても、酷使されても、毎日健気に働き続ける身体にどうか「ありがとう」と言ってあげてください。

私自身も、毎日の生活の中で、ついついそのことを忘れてしまいます。典子さんのお話を聞いて、あらためて自分の身体に感謝したいと思いました(^^)

どうか皆さんも季節の変わり目、体に気を付けてお過ごしくださいね。

【初回無料】カウンセリングをご希望の方へ

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